ブックトークの会 「博覧会」

アキラ・ヤマシタこと ヴァスデーヴ・ムルティ『ホームズ、ニッポンへ行く: ホームズ万国博覧会 インド篇』

ホームズ、ニッポンへ行く: ホームズ万国博覧会 インド篇
日本をこよなく愛すインド人作家によるホームズの長篇本格パロディ作品です。世界を股にかけたホームズの活躍が楽しめます。

ライヘンバッハの滝からの大空白時代に、教授から逃れたホームズは日本に渡り明治政府の諜報員として特殊任務につくという設定で、明治天皇も登 場します。ワトスンに協力を求め、共に日本へと旅をする冒険談ですが、途中インドにも滞在します。

オリジナルのホームズシリーズの雰囲気がよく出ている作品だと思います。

(宮城純一)


引用音楽は

エグベルト・ジスモンチの音楽サーカス・アルバム”circense”より「Karate」

博覧会、そこに集う人々にとっては、未だ見ぬ未来の夢や希望を体現して、日常生活を超えたワクワク「お祭り」「移動遊園地」「観覧車」そして「びっくりハウス」「サーカス」「見世物小屋」。そういえば、最近行ったのは、小学校に上がった孫と行った「恐竜博覧会」。実に楽しかったです。

今回、本が出ませんでした。でも、やっぱり博覧会はここではない非日常の場所へ連れてってれる、どこでもドアみたい。

(荒川弥男)


リック・ベイカー全作品集「メタモルフォシス」

今回は、テーマに沿っているか微妙かもしれませんが…私もまだ読んだことのない本をご紹介。というのも6月末発売予定で、タピオに入っている書店・金港堂の店長さんと話している中で紹介してもらったもので、ハリウッド映画で数々の特殊メイクを手がけたメイクアップアーティスト、リック・ベイカーの全作品集「メタモルフォシス」という、メイクの写真だけではなくデッサン画やボツ案も収録されているという、かなり気になっている本です。

この世に存在しないものを作り上げる、そこにはないものを再現する、そういう技術へのあこがれを強く持っています。比較的クリエイティブな仕事を選んでいたのも、そういう思いが根底にあったのだと思います。聡子さんや榊原さんの、音楽を奏でる、作り上げるという仕事も非常に尊敬しますし、そして「特殊メイク」もまた、まさにそのような技術の賜物ですよね。本に限らず、映画でも何でも世界観に入り込みやすいタチの私は、かなり成長するまで「特殊メイク」という発想がなく、視覚的なものをかなりリアルに受け取っていたので、メイクを学んでいる友人から怪我メイクを見せられてひっくり返る思いをしたことがあります。そんな単純な私一人ではなく、世界中の人をリアリティのある“フェイク”で魅了し続けたリック・ベイカーについて、恥ずかしながら実はこの本を紹介されて初めて知ったのですが、彼が手掛けた作品は見たことのあるものがいくつもあり、おそらく皆さまのほうがよくご存じではないかと思います。

リアルな特殊メイク、空想の生物に息を吹き込むメイク、一流を極めた技術、残る仕事、その一つ一つが載っているのだと思うと、もう読みたくて仕方ないのですが、なんと限定1000部の発行、しかも価格が42,900円とハードルも高く、どうにか図書館などで見ることが叶わないかな~と、なんとも他力本願な期待を寄せているところです。もしどこかの図書館でお見かけになったらぜひ教えていただけたら嬉しいです、とさらに人の力を借りようだなんて思っております。

今回の「博覧会」のテーマは非常に面白いな、可能性も広いなと思ったもので、皆さまの選んだ1冊も気になるところです。また会に参加できることを楽しみにしております。

(小野寺琴香)


『ティールームの誕生「美覚」のデザイナーたち』横川 善正 著

スコットランド・グラスゴーで誕生した「ティールーム」にまつわる一冊ですが、その興隆の背景には、万博の存在がありました。

1888年に開催された第1回グラスゴー万博には、ヴィクトリア女王が何度も訪れましたが、そのお目当ては「ティールーム」だったといいます。スコットランドの町・ペイズリーのテキスタイル装飾を観賞しながら、ティーで憩うことが出来たのでした。

グラスゴー万博に先だって1886年に兄とともに店舗をオープンさせたキャサリン・クランストンは、万博を境に、グラスゴーを「ティールーム」の街に変えるほどの力をもちました。

万博が開催されるたびに、都市の生活や景観が大きく変貌をとげることは、ロンドンやパリをみれば明らかなことでした。

そして1901年に開催された第2回グラスゴー万博ではミス・クランストンは「ティーハウス」を美術館のすぐ前という最高の場所に出店することが叶い、万博開幕から大変な賑わいを見せることとなったのでした。


映画『若草の頃』

原題は『Meet Me in St. Louis「セントルイスで会いましょう」』であるこの作品は、1944年にアメリカで公開された、ヴィンセント・ミネリ監督によるミュージカル映画です。

クリスマスの季節になると、日本でもかならず街中で耳にする美しい名曲『Have Yourself a Merry Little Christmas 』はもともと、この映画のために、ヒュー・マーティンとラルフ・ブレインが書いたオリジナルナンバーでした。

劇中でジュディ・ガーランドが歌うシーンは、何度観ても感動的です。

万博を翌年に控え、浮き足立っていた1903年夏のアメリカ・セントルイスを舞台にした映画でしたが、公開当時はまさに大戦の真っ只中。疲弊した人々の心に、古き良き時代の思い出とともに温かさをもたらした映画だったといいます。そして、いまなお、心に灯をともすような作品です。

(佐藤聡子)